JK3SIC アマチュア無線局のブログ

〜細々ですが地道に運用をおこなっています〜

準軽量 50MHz 2エレ HB9CV アンテナ製作記

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昨年完成させた50MHz 2エレ HB9CVの製作記をまとめました。
初めてのビームアンテナ製作でしたが、そこそこ軽量で、実用になるものができました。

◇製作のきっかけ
これまでのヘンテナでは力不足を感じており、少しゲインがあるアンテナが欲しいと思っていました。ビームアンテナの製作ノウハウも身につけたいと思っていた為、自作に挑戦することにしました。
入門として少ない素子数でゲインも期待できそうな、2エレメント HB9CVを製作することにしました。

◇材料
主金属材料ですが、移動用が目的ですので軽さを重視しました。
・エレメント両端部およびガンママッチングロッド用 アルミパイプφ6 1000mm 5本
・エレメント中央部用 アルミパイプφ8 1000mm 2本
・ブーム用 アルミパイプφ12 1000mm 1本
入手したパイプの肉厚はφ6と8が0.5mm、φ12が1.0mmでした。
その他材料は、以下文中に記載しています。

◇各部設計と加工、組立
 エレメント寸法ですが、シミュレーションはせず(MMANA使いこなせておらず)、各局製作例から初期寸法を決めました。ラジエタ2900mm、リフレクタ2980mmからスタートして短くしてゆくことにしました。

 マッチング部はガンママッチとしました。位相差給電や位相コイルの方法もあるようです。構造的に少し手が掛かりそうですが、製作例も多い様ですのでこの方式にしました。マッチング部の配置はエレメント上部にとしました。平置きした時の配慮と、見た目のクールっぽさ?からです。マッチングロッド長さは500mm、エレメントとロッド間は75mmとしました。ショートバーは目玉クリップ+アルミ板0.8mm厚で製作しました。絶縁する保持バーは目玉クリップ+百均で購入の定規で製作しました。

 フェーズラインは300Ω平行フィーダーが入手困難なことから、調べるうちにVVFケーブルでも利用可能なことを知りこちらにしました。

 マッチングCは33pF X 3パラにしました。耐圧1kV品を入手しました。

 エレメント中央部用φ8と、両端部用φ6との接続は、下穴を開けたのち、φ4タッピングビス止めとしました。

 エレメントとブーム間、およびブームとマスト間の各クロスマウントは、百均で購入のプラまな板(4mm厚)から切り出して製作しました。
このマウントでのエレメントやブームの取付けですが、エレメントφ8とブームφ12には鉄サドル(後述)を、またマスト用はUボルトを利用しました。
 給電部もプラまな板を加工し、垂直に配置して、BNCコネクタやマッチングCを取り付け、マッチングロッドも保持させました。

↓全体とマッチング部寸法、および電気的接続図です ()は調整後の最終寸法
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↓写真 エレメント両端部を外した状態 シーズンはこの状態で保管して運搬しています ブームと僅かに角度ずらして置いてあるのがエレメント両端部です
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なおブームは切断せず材料の1mのままとしています。意外とマストの付け外し時には両端に余分があるほうが扱い易いです。

◇各部様子
 ↓ガンママッチ部 ラジエタ側
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 ↓エレメントブラケット・ラジエタ側給電部
 (天面)
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 (裏面)
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 ↓エレメントブラケット・リフレクタ側
 (天面)
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 (裏面)
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 ↓エレメント接合部
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 ↓クロスマウント 
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◇調整
 アンテナアナライザーCAA-500 MarkIIを用いて行ないました。ビームアンテナの製作が初めてのこともあり、調整には一日足らずを要しました。
 一日目(8:45〜14:40)は、ラジエタ長およびリフレクタ長の調整、ショートバー位置の挙動を確認し、共振点は低い状態ですがSWRを1.5まで落して終えました。
結果: SWR=1.5 @49.7 MHz
以下の流れで実施しました。
 Cショート▶エレメント長合わせ(Ra, Rf)▶Cショート解除▶ショートバー調整(エレメント長と調整を繰り返し)

 二日目(09:00〜10:30) SWR=1.2目標で、再びエレメントとショートバーを動かして挙動をみることにしました。最終的に前日時点のエレメント長と同じとなり、ショートバー位置は中央から270mmの点がSWR最小点となりました。そこでマッチングCを1ケ切断したところ、使用周波数帯でSWR最小になり目標を達成することができました。
結果: SWR=1.2 @50.17MHz 調整時の地上高=4.5m  
以下の流れでした。
 エレメント、ショートバー調整▶C1コをカット(33p x3→33p x2) 
https://jk3sic.hatenablog.com/entry/2021/07/31/145843 
…数値記録は取ってあるのですが、自身ではいま一つ調整の理屈を説明できずにいます。

 実際の運用では、地上高=6mに上げることで、SWR=1.2@50.4MHzと、SSB/AM帯を良好にカバーできる特性に落ち着きました。 https://jk3sic.hatenablog.com/entry/2021/08/02/202408 

◇製作所感
 アンテナの自作をしたいと思い立ちましたが、材料購入が2月、パイプの加工開始が5月で、7月にようやく本腰を入れ製作を一気に進めました。構造や寸法を思案しながら進めた為、製作だけで延べ25-30時間ほど要した気がします。また調整は暑い中大変難儀しました。
ですが、振り返ればよい経験になりました。

◇使用感
 8月の移動運用から使用しました。ヘンテナに比べると少しピックアップし(てもらい)やすくなったかなと感じています。ビームは実感できました。FB比はあまりとれていない感じがしています。
 石川県からEsを除く運用で、GWの伝搬だけではないかも知れませんが、8月に奈良県吉野郡と距離250km程(当局ほぼ平地 海抜30m)、海上伝搬も含めてでは、9月に岡山県加賀郡と300km程(当局海抜580m)でQSOをしました。当局出力5W SSBにて。
 運用時設営は、ヘンテナに比べると大幅に楽になり(当局比)、早くなったことが助かっています。ふみたてくん、ポール設営、アンテナ組み立て、架設で10-15分位です。
重量は677gと準軽量に収まりました。
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◇気付き
【製作で便利だったもの】
・パイプカッター  各局言われておられますが大変便利。千円以内で購入できます。
・プラスチック用カッター  プラまな板の加工に活躍。切るより削るもの。私は工具箱にあった30年前の工作用の簡易型を使用しました。
・ピンバイス  ドリル加工の位置出しは、ポンチよりもピンバイスで下穴加工するのが便利でした。特にアルミパイプはポンチ打ちの際に曲面で滑ってしまう為です。またエレメント長を短く調整する際も、パイプを切断するのではなく、ビス止め位置を変えることで、エレメントを再び延長できるようにしました。野外でもピンバイスで下穴を開けてネジ穴をきるのに重宝しました。 
・鉄サドル(材料)  DIY店で、軽量かつ安価な部品を見つけることができました。本来はパイプやケーブルなどを壁に止める目的の金具です。小径のパイプに合うバリエーション迄は無い為、φ12に適合する金具をφ8に使用する場合には、ゴムシートを挟むことにより対応させました。

【大変だったこと】
・アルミパイプの表面処理の剥離  ガンママッチング部等で、アルミパイプの表面処理を剥離させ導通をとる必要がありますが、この剥離作業はメゲました。紙やすりとで格闘しました。しばら指の痛さが治まらなかったです。
・調整  前述の通りです、、


◇参考にさせて頂いた情報
 整理中